2018年5月16日 (水)

地球温暖化に警鐘を鳴らし続けた人、澤光晴さん

 先月、澤光晴さんが亡くなられた。私と同い年なので、まだまだこれからも活躍されると思っていたので残念でなりません。

 澤さんは大手商社に長年勤務した後、自然環境を大切にしたいと風力発電事業を創業。商社の仕事で海外をまわったとき、地球温暖化に強い危機感を覚えたからでした。そんな中で、絵本や紙芝居で地球温暖化を子供たちに伝えるため、児童環境教育研究会を設立して活動されていました。
 絵本は自ら文と絵を書いた、「えっちゃんとシロのぼうけん ちきゅうがたいへんだ!」「シロクマのおやこ」の2冊と、つつみきよしさんの絵と共著で「サンゴがたいへんだ!」を研究会から発行して、多くの子供たちに広めていました。これらの絵本はさんこう社が発売所になっています。
 北極の温暖化で絶滅に向かっている「シロクマのおやこ」の話には、私は読んでいて目頭が熱くなったものでした。子供たちが大人になる数十年後のために、我々の世代が地球を守らなければと言っていた澤さん。まだまだやりたいことがあったと思います。今頃、天国でハラハラしながら地球を見ておられることでしょう。どうぞ安らかにといえる地球にしたいものです。

2018年5月 3日 (木)

特殊潜航艇「蛟竜」を知ってますか

 「蛟竜」は太平洋戦争末期、海軍予備生徒を志願した学生達が、小豆島突撃隊に所属して訓練を受けた特殊潜航艇です。この潜航艇は、先頭に装備した魚雷2本を発射して敵艦を撃ち沈めるもので、沈められなかった時は体当たりして自爆するのでした。発電機や燃料を搭載するため、艦型も大きく5人乗りです。結局、出撃することなく敗戦を迎えたのでした。

 訓練中に戦死した人も何人かいたようですが、ほとんどの予備生徒は帰還されました。その方々が海軍の体験を語ったのが「特攻艇長たち 次世代への遺言」です。死を覚悟して訓練を受けた人達が、次世代への遺言を残そうとされたのです。2004年にさんこう社から出版しました。
 その後、2013年に上記の本の編集メンバーだった中尾英俊さんと高橋春雄さんが共著で「海軍予備生徒・特攻艇長」を出版しました。こちらも、私共のさんこう社からです。この本では、軍隊生活や「蛟竜」の訓練の模様が詳しく語られ、戦争の虚しさを何度も指摘されています。1924年生まれの中尾さんは数年前に亡くなられましたが、最後まで弁護士として活躍されました。1925年生まれで93歳になる高橋さんは健在です。
 戦争を知らない私ですが、本をつくっているときお二人から戦争の虚しさを語っていただきました。「あなたのように、何も知らない世代がきちんと私達の体験を憶えていてくれることが大事なのです」と。
 残念ですが戦争は世界のどこかで続いています。本当に残念です。

2018年4月30日 (月)

前立腺がんは大丈夫?

 幸いなことに、今のところ私は前立腺がんになっていません。同世代の知人には前立腺がんになったことがあるという人が結構います。皆さん、それぞれにがんと闘い、苦労されていました。でも知人のほとんどが治癒されて、日常生活を送られています。

 そんな患者のなかの親しい友人の何人かに、私は我がさんこう社から出版した「あなたの前立腺は大丈夫ですか」と「前立腺がん治療再考」の2冊を差し上げてました。どちらも河北英詮さんがお書きになったものです。
 河北さんは1931年生まれで現役の精神科医です。2004年に前立腺がんに罹患されました。70歳を過ぎて前立腺がんになったのですが、治療を受けながら精神科医として自らの病状を克明に記したのが「あなたの前立腺は大丈夫ですか」で、7年後にその後の経緯を「前立腺がん治療再考」として発表しました。そこでは、前立腺がん闘病者への助言と医療界への要望が主に書かれています。
 この2冊は前立腺がんに悩む男性たちには福音の書と、編集者として自画自賛していましたが、先日ある人から会社へ電話がありました。前立腺がんにかかって不安になって苦しんでいたが、河北先生の本に出会うことができて、モヤモヤした気持ちが吹っ切れたと感謝されました。
 作った本を読者に喜んでいただけることほど嬉しいことはありません。もっともっと多くの人に読んでいただきたい、さんこう社一押しの2冊です。 

2018年4月19日 (木)

武田清子さんが亡くなりました

 鶴見俊輔、丸山真男氏等と「思想の科学」の創刊に携わり、天皇制について独自の視点で考察した思想史学者の武田清子さんが100歳で亡くなりました。老衰ということで、天寿を全うされました。

 武田さんとは4年前にお会いしています。さんこう社から出版した大口邦雄著「リベラル・アーツとは何か」の帯に推薦文を書いて頂くためでした。そのときの武田さんは車椅子でしたが、96歳とは思えないほど、記憶もしっかりとしていて、いろいろな話を聞かせていただきました。「リベラル・アーツとは何か」の推薦文も、これはリベラル・アーツの歴史を体系的にきちんと書かれた本だからと、喜んで書いてくださいました。
 おかげさまで、この本はさんこう社を代表する出版物としてロングセラーを続けています。これも武田さんの帯のキャッチコピーが一助となっていると思っています。
 謹んでご冥福をお祈りいたします。
 
 

2018年4月17日 (火)

銀座はやっぱり日本の一等地

 久しぶりに「銀座の恋の物語」をビデオで観た。石原裕次郎と浅丘ルリ子が主演の映画だ。

日本映画が活況を呈していた頃の作品で、私の好きな蔵原惟繕監督によるテンポのいい恋愛ドラマである。脚本が山田信夫と熊井啓といえば、日本映画ファンには納得できる作品だろう。
 この映画の重要な舞台がデパートで昭和30年代のデパートも輝いていた。銀座松屋で撮影されたもので、当時下から上まで中央部分が吹き抜けになっていた。消防法によりあの形は廃止されたときいたが、一階から上を見上げた景観はなかなかのものだった。ちょうど私はその頃、銀座で働いていたので、この映画の撮影を遠目から見ることができた。今は昔の物語である。
 銀座のデパートも松坂屋が消え、あちらこちらで大きく様変わりしているが、老舗の店はまだまだ多くが健在だ。木村屋のアンパン、天賞堂の時計と鉄道模型、書店の教文館、松崎煎餅、銀座ライオン、呉服のいせよし等。これらの経営者達が、自分の店と銀座について語った講座が2006年から2009年にかけて開かれた。松屋の筋向いにある教文館ビルに入っていた恵泉女学園の、恵泉銀座センターが行ったものである。この講座を「新銀座学」として私の出版社が一冊の本に纏めたのは楽しい思い出として残っている。
 老舗の社長さん達に校正を届けては、いろいろな話を聞くことが出来た。さすが銀座は日本の一等地、みなさんそれぞれ苦労はすれど、自信を持って暖簾を守っていらした。どうぞこれからも、銀座で繁栄を続けますよう願っている。

2018年4月15日 (日)

呂娟さんの個展に行きました

 昨日、KIYOSHI ART SPACEで開催されている中国人の画家、呂娟さんの絵を観てきました。KIYOSHI ART SPACEは「黒白寺社」(さんこう社から出版した写真集)の関藤清さんが六本木でやっている画廊で、中国人を始め世界の気鋭な芸術家の作品を展示しています。

 今回の呂娟さんは1990年に日本に留学し、水墨画、彩墨画、岩彩画等を学び、30年近く日本で活躍しています。「花曇」と題された個展は全ての作品が桜を描いています。桜は中国では、あまり画材となることはないそうです。日本で長年勉強してきたことから、呂娟さんの桜に対するイメージが開花されたのでしょう。
 独特な幹の形と散りばめられた桜に、バックの白が印象的でした。水墨画に込められた呂娟さんの思いが強く感じられる世界で、ぜひ多くの人に観て欲しいと思います。
 KIYOSHI ART SPACEは11:00~19:00まで開館。月曜日と祝日が休み。TEL03-6432-9535
info@kiyoshi-art.com です。

2018年4月12日 (木)

「火垂るの墓」再放映決定に思う

 アニメ映画の監督だった高畑勲さんが5日に亡くなった。代表作の「火垂るの墓」が明日、日本テレビで当初の予定を変更して放映されるという。このアニメはテレビで何度も流されてきたので、多くの人が知っている物語だろう。野坂昭如の原作で、1945年6月5日の神戸大空襲の体験を基に描かれている。戦争の悲惨さを訴えた作品として、歴史に残るアニメである。

 敗戦の年は3月10日の東京大空襲をはじめ、日本全国で空襲の被害を受けている。極め付きが広島、長崎の原爆投下であった。
 原爆を扱った記録や物語は数多くあるが、広島に比べて長崎の方が少ないように思えるのは私だけだろうか。広島に投下された「リトルボーイ」より長崎に投下された「ファットマン」の方が1.5倍の威力があったのだが、長崎が山に囲まれていたので被害が広島ほどではなかったからか。それでも長崎原爆による死傷者は14万9千人に及んでいる。
 そんな長崎原爆のことを描いた森成人さんの「漆黒の月 長崎原爆投下からの九日間」を今月の1日にさんこう社が刊行したことは、先日のブログで書いた。発売後12日を経過したが反響の多さに驚いている。アマゾンのカスタマレビューに何人かが書き込んでいたり、長崎でも著者の家族の周辺から話題が広がっているという。長崎の被爆の模様が詳細に語られているのは貴重なことだろう。
 北朝鮮の核実験から、シリアの化学兵器に対するトランプ大統領の過激な発言と、世界は火種が尽きない。「火垂るの墓」を見て、「漆黒の月」を読んで、戦争の悲惨さを考えてみませんか。

2018年4月 8日 (日)

1965年にオーストラリアへ留学し、そのまま居ついた女性がいます

 アマゾンの本棚を覗いていたら、さんこう社が2009年に刊行した伊佐ピンカートン曄子さんの「ふたつの文化に生きるー日本とオーストラリア」について書かれたカスタマレビューをみつけました。この本は、伊佐さんの弟が私の知り合いだったので作ったものです。

 ルフトハンザ航空のスチュワーデスに合格したのに就職せず、英語力を磨くためオーストラリアへ留学したのが27歳のとき。そのままオーストラリアに居ついて日本語教師、旅行業、翻訳業とキャリアを積み重ねた伊佐さん。今でもオーストラリアで生活されています。
 この本には一人の女性のグローバル精神が溢れています。リベラルな家庭で育った日本での生活。オーストラリアでのキャリアウーマンの姿。今では珍しくないことですが、1965年に飛び立ったのです。当時は新鮮なことだったでしょう。それぞれの国での生活が生き生きと描かれた素晴らしい本です。
 本が出来たときに、お孫さんを連れて帰国されたのですが、気さくで感じのいいおばさんといった雰囲気でした。今年か来年、また帰国されるそうです。お会いできればいいなと思っています。
 そういえば、本ができた翌年、伊佐さんの知人がオーストラリアから訪ねてきて、オーストラリア在住の日本人達の移住談を纏めて本にしたいと言ってました。面白い企画と思ったのですが、数千冊を日本で作る費用よりも、オーストラリアへ送る送料が莫大なものになりそうなのであきらめた記憶があります。
 本作りをしていて一番の楽しみは、その人なりに独自の世界をもった著者との出会いです。企画も人あってのもの。新しい出会いを求めて、今日もふらふら、明日もふらふらの毎日です。

2018年4月 6日 (金)

希有のエッセスト、藤本邦彦さん

 藤本邦彦という友人がいます。私が昨年1月まで住んでいた東村山市の住民で、アルテ造園の社長です。社長になるまでの職歴は、書店員、絵本出版社、美術書出版社、造園会社員をしていました。無類の落語好きで、故柳家喜多八師匠とは親交があり、長く応援していました。

 藤本さんの職歴をみて分かるように出版について詳しく、私はいろいろと助言を受けてきました。高部晴市さんの絵本「たこちゃん」など、彼の紹介で出版しました。「たこちゃん」は発売後すぐ、全国の図書館から注文がきて800冊出荷しました。図書館でこんなに売れた本は他にはありません。
 その藤本さんですが文章もうまく、私共のさんこう社から2冊のエッセイ集を出版しています。「ミミズの心臓、ノミのため息」の1,2集で、この本はさんこう社が発行していた文芸誌「銀河」に連載していたものをまとめたものです。残念ながら「銀河」は休刊しましたが、刊行を続けていれば今も連載は続き、ミミズも3集を刊行したと思います。
 このエッセイ集は藤本さんのエスプリが詰まっていて、政治の辛口批評から、落語の話、虫や花のことまで楽しく語っています。このブログを書いていると酒好きの藤本さんが、居酒屋でチビチビ酒を飲みながら、ミミズの心臓からノミのため息を吐き出しながら、小さい声であれこれ世の中のことを語っていたのを懐かしく思い出しました。
 庭師としてほとんど休むことのない藤本さん。どうぞ身体を大切に、これからも人生と社会への義憤を、落語風ユーモアでシャレのめして下さい。

2018年4月 3日 (火)

武蔵野市に住んで良かった

 武蔵野市とは縁が深い。高校が武蔵高校で、その後の職場も武蔵野市内だったので55年以上の付き合いです。昨年1月から住まいも武蔵野です。

 その武蔵野で毎月第1日曜日の昼に西部コミセンで開催されている「きらくら」食事会にはまっています。武蔵野市民社会福祉協議会の<身近な地域の居場所づくり助成事業>の助成を受けて行っているもので、参加の予約をすれば誰でも食事ができます。食事の前後には参加者同士で会話を楽しめます。
 主催者の一人で栄養士のTさんとは、別の会のウオーキングでも一緒なので、いろいろ食事のアドバイスをしてくれます。一人暮らしになって20年ですが、食事づくりは最低限のことしかしません。食べれれば何でも、どうでもいいほうなので偏食に陥りがちです。成人病もたいして進んでいないので無頓着でいます。そんな私にTさんはあれこれ手料理のコツを指南してくれます。言われるように台所に向かうべきとは思うのですが、ついついテレビや読書に向かって、おかずは出来合いで済ませています。無精者の性格はなかなか直りません。でも先日、食器棚の奥にフライパンがあるのを見つけました。何年も使ってなかったということです。これを機会にTさんが教えてくれた料理に挑戦してみようと考えはじめています。
それにしても武蔵野市はいいところです。

«新刊本「漆黒の月」ー長崎原爆投下からの九日間ー本日発売です。